Interview

握手会の雰囲気や魅力をそのままオンラインで!
リアリティにこだわった
ライブトークアプリ「Meet Pass」

コロナ禍で多くのリアルイベントが中止になった2020年、いち早くスマホでの電子チケットを導入してきた実績を生かして短期間で開発したのが、アイドルやアーティストとファンが1対1で会話できるライブトーク・チケットアプリ「Meet Pass」 この開発に立ち上げから関わってきた担当者が、「Meet Pass」の魅力や裏話を紹介します。

リアルイベントの参加券を電子化したアプリを配信していたところ、コロナ禍でリアルイベントを開けなくなってしまった。既に特典を配布していたクライアントの"困った"という声から急遽オンライン1on1ミート&グリーティング機能を追加開発。その後も改修を重ねたプロダクトには、自身もファンであるという開発者の想いが詰め込まれていた。

チケット技術部所属
チケット開発グループ グループリーダー

君塚祐司

まず「Meet Pass」の概要をお聞かせください。

アーティストとファンの方がオンラインでお話できたり、一緒に写真を撮ったりできコミュニケーションアプリです。きっかけはコロナ直前に、あるアーティストの握手会で、印刷コストやアカウント管理、ブラックユーザーの管理などの点からチケットをアプリ上で電子化したいという相談があり、その実証実験に携わっていました。その時点では、チケットの電子化はほぼ使える状態までは来ていたものの、まだいくつかの課題があって、最終形にはなっていないという状況でした。ところがちょうどそのタイミングで世の中がパンデミックになり、リアルな握手会自体が開催できなくなったんです。そこでその代替策として、チケットのデジタル化の技術を活用して「Meet Pass」が誕生しました。怪我の功名というか、オンラインお話し会になったことで、当社やアーティストにとっては、結果的にこれまでなかなかライブイベントに足を運ぶことのできなかった地方や海外の方、移動がネックになっていた方などの、新しいユーザーの獲得にもつながったと思います。

コロナ禍がきっかけとのことですが、リリースは割とすぐでしたよね?

2020年9月にはサービス開始しています。実質、半年くらいで構想からリリースまでたどり着きました。お話し会という方向性が立ち上がったときすでに競合他社さんもいたので、スピードが命でした。音楽や映像配信用のSDK(ソフトウェア開発キット)の中でも「agora」という新しいSDKを使い、またAndroidOSとiOS両方作ると時間もコストもその分かかってしまうため、今回はiPhoneとAndroidどちらでも動かすこととのできる「React Native」というフレームワークを使って1ソースで開発を行うことにしました。もちろん「React Native」でできることしかできないという面があり、開発に制限がかかったりという弱点もあるのですが、そこは優先順位を見極めてクオリティを維持しつつその時使える最善の方法を選択しました。

競合というお話がありましたが、他社と比べて「Meet Pass」の特性は?

確かにすでに数社サービスとして提供している会社もありますし、ZOOMのようなミーティングアプリでも似たようなことはできてしまうので、スピードとともに差別化も重要でした。何か問題が起きたときのための事前認証や監視機能、強制退室機能、AWSを活用したAIによる顔認証機能もつけ、顔ではない写真をUPされると弾く機能などを管理ツール側で搭載しています。また注意事項説明なども予め表示されるようにしているのも、アーティスト側から安心材料として評価していただけました。

エンドユーザー側としては、自分の推しの開催回チケットは持っているけれど別の子と話したくなった、というときに電子チケット上で別の子の列に並び直すことができる「推し増し」機能や、チケットを10枚まとめて持っているけれど1枚ずつ使えるといった「分割」機能など、リアルの握手会でできることは、できるだけオンラインでもできるようにしていきました。

今では他社さんでもやっているかもしれませんが、そういう対応はうちがかなり早かったと思います。また細かいことですが待機時間が退屈になりやすいという課題に対して、アーティストさんのアー写を載せているので、待ち時間があまり苦にならないと言ってくださるエンドユーザーもいます。

もうひとつ、ユーザーの方からは「リアルタイム感がいい」という評価を頂いています。短いトーク時間の中で、タイムラグのせいでコミュニケーションが噛み合わないのは致命的なので。タイムラグがほとんどないようにシステムとフレームワーク、その他のソリューションを組み合わせたことが奏功しました。

開発する上でほかにこだわったのはどのような点でしょうか?

そもそもコロナ禍という特殊な状況に対処するために立ち上がったサービスでしたが、急にコロナが収束するかもしれません。その可能性を考慮して、オンライン握手会がなくなってもリアル握手会の電子チケットアプリとして使えるシステムの構成を最初から意識して開発しました。逆に言えば、リアル握手会を開催予定だったものがコロナ禍でオンラインに移行することになっても比較的簡単にスライドできる、どちら側への変更も可能というのは「Meet Pass」独自の特徴かと思います。

また開発では握手会を実際に経験しているメンバーが、リアルに近い流れにこだわって作りました。要件定義の段階からリアルな握手会を知っている技術者が必要なサービスと技術的な現実可能性という視点とを照らし合わせながら組み立てたので、開発過程で齟齬が少なく、スムーズに前に進められたと思います。

一番大変だったのはどの部分でしたか。

出張が多かったことでしょうか(笑)。最初のアーティストの拠点が広島だったのですが、通信環境がカギになるのでこまめに現地に出向きました。当社のサービスは主にリアルイベントという人が集まる場所なので、常に通信環境に関してはセンシティブになっています。さらにコンサートの電子チケットであれば本人確認などで入場させることもできるのですが、お話し会の場合は通信が滞るとサービス自体が終わりなので、いかに障害を回避してサービスを継続させるかということには苦心しました。なので通信状況や認証や監視の状況のチェックのため、「現場」は非常に重要です。結果的には現場を見てきているおかげで他のエンジニアに対して必要なポイントを伝えやすく、スムーズに進められたと思います。とにかく、こうした差別化や安全性などさまざまなポイントを盤石に整えつつも、遅れることなくサービスをリリースするという、質とスピードの両立に苦労しました。

この開発に携わったことで、技術者として得られたものはどんなものがありますか。

サービスをゼロから立ち上げたということもそうですが、特に今回は、先ほども話したように「React Native」や「agora」、さらにサーバーサイドのPHPフレームワークとして「Laravel」など、新しいもので開発を揃えられたので、これまでの弊社のアプリとは違う組み立てができたことは大きな経験になりましたね。

「Meet Pass」の未来像は?

細かな機能追加は随時行っています。サービスとしては最終的にはエンドユーザー同士でお話し会が行える使い方も視野に入れています。

あと、とても便利なサービスなので、ぜひ多くのお客様に使っていただきたいです。すでに多くのアーティストが何かしらのお話し会対応アプリと紐付いているので、まだそういったアプリを使っていない新しいアーティストを開拓するとともに、他のアプリから乗り換えていただくだけの圧倒的な魅力を備えなくてはいけないと思います。そのためには運営側から管理体制を刷新していく必要があると思います。まだまだすべきことはたくさんあります。

これから入社し「Meet Pass」に携わりたい人にメッセージを。

エンジニアとしては、古い環境での実装ではなく新しいサービスの開発に携わることができる、魅力的な環境だと思います。またこのサービスに携わらなかったとしても、当社はもともとリアルイベントを対象にしている会社としてコロナ禍という厳しい状況を迎えても柔軟に対応し、「Meet Pass」やライブ配信サービスの「Stream Pass」など新しいアプリや、新しいサービスを次々に開発、リリースしていけるフットワークの軽さがあります。常に新しいことにワクワクしながら挑戦したい人には、やりがいのある職場だと思います。一緒に成長できる方、大歓迎ですね。

このメンバーと同じ職種の
求人を確認する

閉じる

閉じる