Interview

電子チケットの先駆者として
アーティストにもファンにも
信頼されるサービスを育てたい

電子チケットや顔認証サービス、チケットトレードなど、チケット業界の先駆者としてインフラを作ってきた「チケプラ」のサービス。この開発に携わるエンジニアに、これまでの足跡や未来について伺いました。

不正買い占め、不正流通を防いで、本当のファンに音楽を届けたい。そんなアーティストの想いから生まれた電子チケットサービス「チケプラ」様々なニーズに応えるうち、周辺サービスも充実。電子チケットの認知に伴い毎年発行枚数が増えています!

チケット技術部 部長

佐藤良人

チケプラのサービスの成り立ちをお聞かせください。

チケプラはスマホだけでチケットの申込みから受取、当日の入場までできる電子チケットのサービスというのが始まりです。アーティストの事務所からチケット転売対策の要望を受けて、本人確認ができる顔写真付きカードとチケットを紐付けて、ワンセットでなければ入場できないようにする仕組みを作ったものです。そのアーティストはチケプラができるまでは運転免許証で氏名確認をするというアナログ対応をしていたのですが、まずはオリジナルのそのアーティスト専用のライブ会員カードを作り、QRコードを専用機にかざすと名前と顔がチェックできるという仕組みです。当初は毎回現場に行ってPCとQRコード読み取り機をがーっと並べていましたね。その後1年か1年半ほどで電子チケットが実現しました。とは言えファンの年齢層が比較的高いこともあって、当初は電子チケットと紙のチケットの人が半々くらいだったと思います。でも利用されたお客様の反応はすごく良かったですね。入場のスタンプがデジタル上で押されると「おっ」と反応していました。2015年頃の大阪城ホールライブでの成功が実績となって、さまざまなアーティストやスポーツイベントで導入されていきましたね。

その後、どのように発展してきたのでしょうか。

オリジナルを作ったのは2015年〜2016年頃、当初はスポーツ施設系の、野球やアーティストのライブが中心でした。展開としてはそこから2017年に「チケプラトレード」というトレードチケットを作り始めました。当時ちょうど他社でも類似したサービスがで始めていて勢いがあったものの、うちは公式トレードだったので、逆に信頼してもらえていたと思います。その後2019年6月に転売対策防止法ができて、高額転売が横行していた中から定価でオフィシャルに転売できるという仕組みの価値が高まったと思います。

また他社の類似したサービスと比べた優位性としては、カードコレクションの機能が挙げられると思います。電子チケットのリリースとほぼ同時期に、「メモリアルコレクション」というコンテンツを開始しました。紙のチケットがなくなって利便性は上がった一方で、チケットという手に取れる品物がなくなり「思い出のアイテムがひとつ減った」という思いを、このサービスが補填したと思います。ライブやイベントが終わった後もスマホ上でその思い出に触れられる仕組みです。

チケプラが盛り上がってきたなと感じたのはいつ頃からですか?

2016、2017年頃ワールドサテライトやNHKなど、テレビで立て続けに取材されたころでしょうか。自社サービスが広く紹介されるのは誇らしかったですね。また以前グーグルのネットワークトラブルがあったときに、うちのサービスはオフラインでアプリだけで入れる機能があったので他社と比べて致命的なことにならずに済んだのです。他社のものは常にオンラインでなければだめだったり、逆に家でダウンロードしておかなくちゃいけないガチガチのオフライン仕様のところもあり、そういうサービスだとギリギリまでトレードするというのはできないですよね。その点うちはオフライン、オンラインに柔軟に対応できるんです。そういう緊急時に優位性を感じることがあります。先日のあるキャリアさんの大規模通信障害のときも、他社で機能しなかったところがあったけれどうちは大丈夫だったり。

そういうシステムを作ることは技術者としても誇りになりますね。他社との差別化はほかにどのようなところが挙げられますか?

チケットトレードでは、一度応募しておけば、チケットのトレード可能な期間中、毎日自動で抽選する機能があり、これはとても好評です。また現在では他社でも行っていますが、代表者が電子チケットをまとめ買いしてそれを同行者に振り分けることができる分配機能などは、2014〜2015年頃からスタートしましたので、僕らがパイオニアだったと思います。さらに、自分が行けなくなったときに譲渡する人を事前に決めておく「お友達機能」とか、同行者を事前に決めておく機能、2020年秋に導入した「くじ機能」などもうち独自ですね。また仕組みとしては、「チケプラ」という販売受付サイトのサービス上で受付申し込みができるようになり、さらに定額トレードから価格変動をさせていくという機能をつけました。また「チケプラTrade Premium」などの上位会員制度を設け、当選確率がアップするなど、トレードの優遇性を得られる仕組みを作りました。

チケット以外でもアップデートをしている部分がありますか?

チケット以外にも、ファンとアーティストをつなぐさまざまな機能を作ってきました。コロナ禍でリアルライブが困難になった状況を受けて、「ストリームパス」という、オンラインライブとリアルライブを組み合わせたデュアルなライブ体験のプラットフォームを作ったり、2019年秋に握手会アプリという、握手会参加券を電子チケット化して管理できるアプリを開始して、2020年からファンとアーティストがお互いの顔を見ながら1対1で話すことができるライブトークアプリ「ミートパス」ができました。電子チケットだけでなく、アプリを介したさまざまなつながりを作ってきていますね。うちが業界の中核となる二次流通の仕組みを作っていると思います。

パイオニアとして業界を牽引していく上で、苦労したところはありますか?

有名アーティストのチケットの取り扱いをしているので、人気公演のチケットの駆け込みアクセスや、当選発表時のアクセスをどうさばくか、といった点は苦労しましたね。当初はデータセンターで決められた台数で処理していたので。クラウドへの切り替えを行ったことで、必要なときに必要な台数のサーバを使えるようになり、解消しやすくなりました。システムとしては、各社のプレイガイドやいろんな芸能事務所と連携している基盤となるシステムなので、各社からさまざまな要望が組み合わさって、複雑になっている部分はあります。現在はデータベースを切り離し、ある程度ベースのプログラム部分をシンプルなものに組み立て直して新しいシステムを作ろうとしているところです。

また運用していく上では、プログラムの問題よりもユーザーの方々が各アプリを使う会場のネットワーク環境も課題です。ライブ会場などの現場ってどうしても人が集まるところですから、電波があるとは限らないという前提でサービス設計をするよう工夫しています。電波が微弱なところなどではオフラインでの現場対処も行います。

では、今後のサービスの未来像は?

今はアーティストメインですが、他のスポーツ施設などの開拓など、横のパイが開拓できていないので、さらに広げていき、国内で使われる電子チケットのメジャー化を進めていきたいと思います。そしてその先に海外に広げていければと。もちろん単発でいろんなところに声を掛けるのはできると思うのですが、うちは事務所と連携して継続できているというのは価値があると思います。それはさまざまな要望に応えてきた結果ですから。オリパラなど大規模イベントにも対応できたのは喜びでもあり、実績としても価値があったと思います

また今のところ日本のアーティストの海外公演は実現が進んでいるのですが、より知名度を高めて、海外アーティストにも広めていきたいと思います。

これから入社する人に対して、技術者として、Tixplusの魅力を伝えるとすればどんなところにあると思いますか?

規模感が大きいことや、アーティストさんたちの関わりというのはここでしか経験できないことじゃないかと思います。メンバーの気質としては、「まずはやってみよう」という精神が強いと思います。NFTをやってみようとか、新しい技術を取り入れていこうとか。顔認証を先駆的に取り入れたのもそのひとつです。開発の中でも、違う意見を出すときに否定するだけでなく根拠を示して代案を提示できる人なら、みんな積極的に試していこうという風土があります。むしろ積極的に別の手法を試してみようというスタンスの人は多いんじゃないでしょうか。またスピード感も魅力の一つだと思います。いち早くサービスをリリースして、運用して反応を見て直していくというところはあります。

日常的には常に新しい要望に応えていったり、新しい取り組みをしているので多忙ではありますが、常に開発に携われる、成長し続けているサービスなので、自分自身も成長できる仕事ですね。だからといって会社で長時間労働をすることは望んでいなくて、チームとしても同じ成長するなら早く帰って外部の勉強会に参加してほしいという感じ。社内の知識や考え方、人間関係だけじゃなく、外注先や受注先の事務所のエンジニアからも学んでほしい。そういう学びの姿勢がある人には、チャンスがたくさんある職場だと思います。

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